92年7月16日「朝日新聞」

   「セクハラ」で謝罪広告請求 横浜の女性提訴

 職場で性的な嫌がらせを受けたとして、横浜市磯子区の女性(26)が、かつて勤務していた東京都中央区の建設コンサルタント会社と、親会社の大手建設会社、元上司(49)の3者を相手取り、500万円の損害賠償と新聞への謝罪広告の掲載を求める訴えを、このほど横浜地裁に起こした。
 謝罪広告を求めるのは企業の責任を明らかにするなどのためでセクハラ訴訟では初めてではないかと、女性の代理人の弁護士はいっている。



92年7月14日「毎日新聞」

   「セクハラ上司、居座らせた」
     初ケース 謝罪広告求める 女性元社員きょう提訴


 勤務中にわいせつな行為をした上司が移動にならなかったため職場環境が悪化、名誉を毀損されたなどとして、建設資材開発会社の女性元社員が上司と会社などを相手取り、500万円の損害賠償と会社に謝罪広告を求めた訴訟を14日、横浜地裁に提訴する。セクシュアル・ハラスメントをめぐる訴訟は損害賠償を、命じた判決がこれまでにもあるが、企業に謝罪広告を求めるのは初のケース社員がセクハラを起こした場合の会社の対応について、司法判断が注目される。
 訴えを起こすのは、横浜市磯子区の女性(26)。訴状などによると女性は一昨年5月から、大手建設会社の横浜営業所に勤めていたが、親会社から出向の営業所長(49)が同年秋ごろから肩や髪を触るようになり、次第にエスカレート。昨年2月中旬には、他の社員がいなくなった事務所内で、「一度抱きしめたかった」といきなり抱きつき、抵抗する女性の服の上か
ら体を触るなどした。
 女性は社長と親会社に直訴、所長の移動を求めたが、「大目に見てほしい」などと取り合わなかった。所長はいったん謝ったが、その後女性に仕事を回さないなどした。女性は「職場で厄介者扱いされている」と昨年7月に辞職した。
 女性は「会社側が適切な対応をしてくれなかったため、社内環境を侵害され、上司のわいせつ行為に加え、二重の精神的苦痛を受けた。セクハラは心の傷を負わせるもので、金だけではいやされない」と話している。
 今回の訴訟について、セクハラに詳しい福島瑞穂弁護士は「セクハラを個人的な問題としてとらえている日本の企業社会を問う画期的な裁判。相談でも『(謝罪は)金ではなく態度で』という声は高まっており、今後もこうした訴訟が増えていくのでは」と指摘している。

   見解の相違だ 営業所長の話
 見解の相違だ。新製品がようやく売れることになったため、2人で抱き合って喜んだだけ。セクハラなんてとんでもない。辞職は彼女自身が選んだことだ



92年7月15日「読売新聞」

  セクハラ直訴▼うやむや対応
    謝罪広告求め提起 横浜地裁


職場の男性上司から勤務中に性的嫌がらせを受けたとして、横浜市磯子区の女性(26)が14日、上司だった営業所長(49)と建設資材開発会社(本社・東京都中央区)、その親会社の大手建設会社(本社・東京都港区)を相手取り、500万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を横浜地裁に起こした。
 いわゆるセクハラをめぐる訴訟で謝罪広告まで求めたのは異例のケース。
 訴状などによると、この女性は平成2年5月、横浜市南区にあった同開発会社横浜営業所にあるバイトとして入社、半年後に正社員となった。ちょうどこの時期に、別の内勤アルバイトが退社したため、事務所に所長と2人きりになることが多くなり、所長に髪を触られたり、肩をたたかれるなどの嫌がらせを受けるようになった。昨年2月には、所長が急に抱きついて体に触るなどのセクハラを受けた―――としている。
 女性は同年3月、社長に「所長をきちんと処分してほしい」と直訴したが、会社側は「大目に見てほしい」とうやむやにし、同年8月には「会社の事情」を理由に辞職に追い込まれたという。
 女性は「退社に関して職場の同僚らから誤解を受け、名誉を毀損された」として提訴に踏み切った。
 一方、訴えられた大手建設会社の広報部では「円満解決を求め話し合いをしている最中で驚いている。その折にも(所長と女性の)言い分が違っていたので、詳しくは訴状を見て判断したい」と話し、同開発会社の総務部長も「対応は訴状を見て検討する」と話している。



92年7月15日「神奈川新聞」

   セクハラ謝罪 広告で 磯子の女性 元勤め先相手に訴訟

 勤務中に上司からわいせつ行為を受けたが、会社の対応が不適切で周囲の社員から冷たい目で見られるど名誉を毀損されたとして、清水建設の子会社テクネット(本社・東京都中央区京橋)の元社員A子さん(26)=横浜市磯子区=が、同社と当時の上司、清水建設を相手に500万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴えを14日、横浜地裁に起こした。A子さん側弁護士によれば、謝罪広告を求めたのは「企業責任を明確にしてもらおうとの狙い」で、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)では初のケースという。
 訴えによれば、A子さんは一昨年5月から同社横浜営業所(当時・南区所在)にアルバイトとして勤務。同年11月に正社員となったが、そのころから営業所長のBさん(49)が、事務所内に2人きりになった際、A子さんの髪の毛や肩などを触るようになった。翌年2月中旬ごろにはA子さんの後ろから抱きついた、としている。
 A子さんはBさんの行為を本社の社長に直訴。清水建設から出向中だったBさんへの厳重注意と人事異動を要望したが、取りあってくれなかったという。Bさんは謝罪したがその後、A子さんが求めた伝票の決裁を後回しにしたり、仕事を回さなくなった。このためA子さんは職場での立場が悪くなり、やむなく同年8月に退社した。
 弁護士によれば、これまで同社と使用者責任のある清水建設に対して、Bさんの処分とA子さんへのきちんとした謝罪、セクハラについての社内教育の徹底などを求めてきたが、話し合いがつかないため、提訴に踏み切ったという。
 提訴についてテクネット社の山口壮一郎総務部長は「双方から話を聞いて調査したが、双方の言い分、受け止め方に開きがあったようだ。(A子さん側にとっては)不快に感じる事実はあったようだが、所長が謝罪して解決との認識だった。公判のやりとりを見守りながら、対処を検討したい」と話している。



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