クラブA bP0 

                   1994・10・24  発行 横浜セクシュアルハラスメント裁判を支える会事務局



☆ 裁判報告

 前々回7月22日の裁判の前に弁護団では今後の進行について、いくつかの検討はしていたが、そこでは和解という言葉は、一度も発せられたことがなかった。
 7月22日の期日の最後に裁判長が和解を勧告したことは、原告および原告代理人3人共に意外だった。また、被告にとっても同様だったと思う。
 勧告の結果、9月14日に和解期日が設定された。
 およそ和解による解決が極めて困難と思われる事案について、和解を勧告したのだからもしかしたら、一般の事件では予想できないようなユニークな和解案が提案されるのではないかと裁判長の内心をあれこれ想像してみながら期日を待った。
 しかし、和解期日は、至極普通の手順で進められた。裁判所から、原告側に、原告側で和解にあたって、事実確認の点でどうしてもゆずれない線について打診があり、それを、被告側にも尋ねというように。
 次回の11月8日も、そのようにそろそろと和解の可能性の追求が続く。
 和解による解決では満足できないと一概には言えないが、結論を長引かせる結果にはしたくないので、原告側としては、和解の可能性をなるべく早く見極めたいと思っている。(渡辺)




☆ ある強姦裁判を傍聴して

 上野から快速で3時間半の小都市に初めて降り立った。ここ2年ぐらい、裁判の傍聴をすることが多い。8月30日のその日、いつにもなく緊張して早起きして出かけた。強姦裁判というのは初めてであり、かつ加害者の男の2回目の証言という段階で、前回は被害者のAさんが再び凌辱されるというひどい証言だと聞き、Aさんを力づけねば"女がすたる"と、万難を排して行こうと決意していた。
 加害者の職場の上司という男は、いやらしい小心者のオジサンという感じ。原告側代理人(弁護士)からの反対尋問に、おどおどと、しかしぬけぬけと嘘を述べたてる。
 この事件は、店で仕事を終えて帰ろうとするAさんに店長の男が襲いかかり、拒否されて一度は身を引いたが、Aさんにその行為を抗議されるや今度は強硬な態度にでて強姦し「一丁上がり」「これがホントのやり逃げだ」などと言って帰ったという事件である。
 しかし、その男に言わせればAさんに気があって言い寄られていた恋愛関係だったので和姦であるという主張となる。会話もなく、しかも汚い床の上での一方的な行為が恋愛関係と言えるのかと、その主張を事実で覆そうとする代理人の奮闘はよくわかったが、のらりくらりとかわす
男の証言はほとんど自分に都合のいい脚色となる。直後はしっかり「やり逃げ」と自覚していたはずなのに、裁判にまで訴えられるや、男社会の優位性を利用して恋愛関係だったなどとさらにAさんを侮辱し踏みにじる。
 Aさんは「人間としての尊厳を取り戻すために負けられない」と言う。並々ならぬ決意だが、刑事が不起訴となり民事で争っている今の段階はなかなか厳しいものがあるようだ。前回は少ない傍聴だったが、今回は30人あまりの傍聴があり急きょ大きな法廷に移ったほどだった。多くの女たちが注目しているぞと圧力をかけることが重要だと思う。
 私はなんとしてもAさんの名誉を回復したい。彼女が元気になれるように。そして、横浜のAさん、八王子のAさんなど、無数のAさんが立ち上がり、性差別と闘うことで女としてつながっていければいいなと思う。私もそのひとりとして共に闘い生き延びていきたいと思うから。   (Q)




☆ 障害者Aさんの訴え&A県S・H裁判を傍聴して

 被害の実態を公開するのは本来の目的ではない。しかし、被害あっての訴えなので、それは公の知るところとなる。その結果、一方的に被害を被ったほうであるのにもかかわらず好奇の目で見られたり、あらぬウワサを立てられたりするというのは、これは一体どういうことか。
 「この女としたい」「今したいからこの女でいい」「この女ならするのにちょうどいい」等の、女は「穴のあいた生物」だという大カンチガイも甚だしい認識から勝手に突っ込まれては、いい迷惑だ。
 恫喝や殺傷の恐怖に支配されながらも死ぬ程に、大ケガをする程に抵抗した形跡がなければ強姦されたとは認められないなんて!と憤慨していたA県の彼女。ならば身体の自由がきかない障害者のAさんはどうなるのか。「例外」とでも言ってくれるのだろうか。
 正義が勝つのは理想だ。現実は勝ったらいい程度のもの。そう、裁判とはそんなものでもある。
 気が強いから持ちこたえられるのではない。負けず嫌いだからとか、強情だからとか、そんなものでもない。自分に真実があるからだ。その証を得るために耐えているのだ。なのに「隙があるからじゃない?」などと言う人。うるさいから黙っていてくれないか。 (文責・ぶっとびのA)




☆ 医療の場での性暴力を許さない
     「障害者A子さんの裁判を支える会」スタート

 東京都下の障害者施設で、治療入院中の重度障害者A子さんが、同施設レントゲン技師によって検査中にセクシュアル・ハラスメントを受けるという事件が、今年3月起きました。
 大変驚いたA子さんは、ただちに弁護士と共に施設側に、事件に関する申し入れをしましたが、院長をはじめ施設側は「本人は事実を否定しているから」と全く対応しようとはしませんでした。こんなことは許せないと、A子さんは警察に届け出、現在捜査が進行中です。
 ところがこの事件は、それまでにも施設職員採用時などに繰り返し同じ職員によって行われており、施設側は訴えがあったことを承知していたにも関わらず、放置してきたままだった事が明らかになってきました。
 通告の3ヶ月後、加害者は自主退職し、何の処分も受けてはいません。警察による厳重な調べは当然ですが、社会的にもこのような事件を放置しておくわけにはいかないと、A子さんは民事裁判を決意、去る9月28日東京地裁に加害者本人と施設側に損害賠償を求める訴えを起こしました。第1回公判は11月22日に予定されており、審理は年内にも開始されようとしています。ちなみに弁護団は何と、当「横浜裁判」と全く同じ顔ぶれ。大いにシビアな切り口で裁判が進められることが予想されます。ご期待ください。

 昨年12月の国連総会では、「女性に対するあらゆる暴力根絶宣言」が採択され、その中には特に障害者、少数民族などの"社会的弱者"が暴力にさらされやすいことも明言されています。各国がその様な状況を踏まえてどのような対応を進めるかが厳しく問われているのです。来年の北京会議に向けて、日本政府もレポートを発表しましたが、残念ながらNGOなどから多くの意見が寄せられたにも関わらず「女性への暴力」についてはほとんど触れられていないのが現状です。
 多くの女たちがA子さんの裁判に関心を持ち、この様な事件を女たちは決して許さないという思いでいることを社会的に明らかにしていきたいと思います。

  A子さんの裁判を支える会  発足集会  みんな来てね!

     日時   11月13日(日)午後1時半〜
     場所   東京都女性情報センター(JR飯田橋西口隣)

     話し手  原告A子さん
           安積遊歩さん(八王子ヒューマンケア協会)
           堤愛子さん(町田ヒューマンネットワーク)

     参加費  500円




☆ 八王子A子さん裁判のお知らせ

  次回の公判  (被告への主尋問)

    11月7(月)10時半より 八王子地裁 401号
     (大きな部屋に変更されました。傍聴席を満員にしたいものです。よろしく!)




☆ シリーズ・我が偉大なる弁護団 / 最終回・中村れい子弁護士

   「遊んでいても、私はやっぱり弁護士だった」

 ぬけるような青い空。紺碧の海。視界270度に広がる白い砂浜。水と戯れながら波打ち際を裸足で1時間も歩いていると、今までの毎日のほうが夢の世界の出来事のような気がしてくる。(羨ましいでしょA)
 Aが旅行をしているようなので、私も春たけなわのゴールドコーストに行ってきた。ハイシーズンでもないのに、日本人観光客であふれていた。そのほとんどはハネムナーとおぼしき30歳前後の男女のカップル。こちらの年のせいか、皆が同じ姿、格好のカップルに見える。つまり特徴がない。
 円高のおかげか、親の配慮が行き届いているのか、人生が始まったばかりなのに超高級ホテルに泊まり、カップル毎に、彼らと同年代の日本人現地コンダクターが1人つき、手取り足取り指示をしている。結局、観光する場所も同じ。そこでのメニューもたぶん新婚向きセットで同じような内容のものなのだろう。
 それなら一昔前の、最前列に「のぼり」を立てた○○様ご一行と実態は何ら変わらないはずなのだが、カップル毎に「あなた方だけの気ままなツアー」というイメージを作り、夢を売っているのだろう。
 だが、仕方がない。自分で汗をかき、恥をかきながら動きまわらない限り、現地での必要な情報は旅行会社ににぎられてしまっているのだから。
 日本に帰る飛行機の中で、大江健三郎氏のノーベル賞受賞を知った。帰国した日にみた日本の新聞はそのこと一色であった。その後、同氏の文化勲章辞退もあり話題は一段とエスカレート。今や、どのマスコミの論調も大江文学はもとより大江氏その人までをも、真の民主主義者、筋を通すすばらしい人格者として扱いはじめている。大江氏が師と仰いだフランスの哲学者サルトルは、ノーベル賞の受賞すら拒否した。その2人の違いはどこにあるのか。私は文学とは縁遠い人間であるが、最近ではマスコミに登場することも少なくなった(はっきり言うと、見向きもしなかった)大江文学を突如として賞賛し、文化勲章を突き返したと騒ぎ立てる日本のマスコミをみて、本当に日本に帰国した実感を大いに持つことができた。
 私達が住む今の社会では、情報は瞬時に、大量に、しかもほとんど同じ方向性を持って、どっと推し寄せてくる。耳目を引く事件が起きれば、私達は、一億総解説者になっている。実際、胸に手を当ててみれば、実は各種マスコミが大量かつ詳細に流す他人の考えにただ乗っているだけだったりする。自分の頭と足で考えようと思っても必要な情報は自分の手中にはないことが多い。ゴールドコーストの若いカップルを笑えない。
 そして同じことは女性問題の解決についても言えないだろうか。
 私達は今、女性を巡る問題、例えば女性の社会進出、性別役割、女性労働、セクシュアル・ハラスメント、性暴力、家族のあり方、高齢者福祉などの諸問題について、進んでいるといわれている北欧やアメリカ等から、その経験を通して学び、その目指す理想やシステムを我々の理想として描いている。もちろん論理性、合理性においてそれらに問題があるとは思わない。
 しかし、どんなに精緻な思索の結果であっても、人間の本来持っている属性や要求をスポイルするような制度やシステムは最終的には生き残れない。その視点から、私達の考え方自体(北欧やアメリカの経験も)をいつも検証しておく必要がある。
 動物としての人間が本来持っている、次世代を生み、はぐくみ、社会化させるという大切な営みが、国や社会政策や貨幣価値経済の中に、うっかりからみとられることがないよう、自分達の目と頭で注意を払っていかなければならないと思う。




☆ カンパのお礼と年会費納入のお願い

 前号の緊急カンパの要請に、多くの方々からの励ましの言葉とお金が届けられました。ようやくあと2回分の発行が可能となります。本当にありがとうございました。

 そのうえで、大変恐縮ですが、恒例の年会費のお願いをさせていただきます。
 前年の要請では、会費の金額を明示せず、ご迷惑をかけました。
 あらためて金額をお知らせします。

     個人会費   3,000円
     団体会費   5,000円

 同封の振替用紙にて納入してください。
 いよいよ本裁判も地裁段階での終盤になってきました。
 11月の和解の内容によっては上告もありえます。今後ますます皆さんの支えが必要ですので、ヨロシク!



☆ Aさんコーナー

   「睾丸無知」
 和解勧告。和やかな解決を勧めるお告げ。でもやはり判決文に部長の名前と会社名を記して「この者たちは間違いを犯した」と明記して欲しい。それが提訴の理由だから。
 どの線で、もしくはどの辺までお互いに乗除するかとか、猥褻行為をどこまで詳らかにするかとか。そして、私の主張が通れば通るほど賠償額がどうだとか。‥‥‥私が求めるのは「公正な正しい判断」それだけ。どの辺でもこの辺でもない。私が正しければ私の主張が事実で、虚偽を申し立てたほうは謝罪すべきで、賠償額もそれに沿うだろう。
 「猥褻行為の認定」について。部長の主張である「肩に手を置き、仕事の成功を喜び合って思わず抱き合った」でよいか‥‥‥それなら私は猥褻だと思わないので認めかねる。「抵抗する女性を腕力と権力で押さえ込み、無理矢理抱きすくめ、唇に舌をねじ込み、その手と指で身体中を撫でさすり、揉みしだき、抱え込んだ腰に下腹部を押しつけ、こすりつけ、上下に動かす」等の行為なら、認めるが。
 双方の主張に相当の隔たりがあるとは言っても、これまでの弁論や証言から、誤った判断を下す厚顔無恥な司法機関などありはしない、と思いたいが。

 愛情を持って抱きたいと思うのも、肉欲を満たすために犯したいと思うのも、全て決めるのはこころと頭脳。睾丸は預かり知らぬこと。




《 編集後記 》

 今日は、久しぶりに小田急線に乗って町田経由で来てみたけれど、やっぱりかかる時間はおんなじだった。帰りはのりかえの少ない経路にしよう‥‥‥。Aさんは悩みながらカットを選んでいたけれど、いちばん楽しいんだよ、あの作業は。(とんがらし)

 今日はマジメに参加しました!印刷を熱心にやってま〜す!!食べると胃がもたれる今日この頃です。でも食べてしまうのよね〜これが(こぐま)

 時間になっても来ないのでこぐまがTELをしたところ‥‥‥「北欧の旅に行ってボケてしまって、忘れてしまった!ゴメンね、これから行きます」だそうで‥‥‥(Qのコーナー・代筆A)

 原告Aは今はイエローだそうだ。ブルーだった原因をアタシャ知っとる。望年会でそのへんをヒロウしてしまおうと思ったが、おしゃべりAはもう云っちゃったといって、オチまでつけてしまった。誰を肴にしようかブッショクちゅう(P)

 イジケまくりのプー生活がとうとう6ヶ月目に突入した。何の実りもない秋である。(ぶっとびのA)



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