クラブA bQ2

                    1997・3・23  発行 横浜セクシュアルハラスメント裁判を支える会事務局



☆ 第9回口頭弁論報告

 2月4日、いつもの809号法廷。あれ?裁判長が変わった。「原文のままでよいですから」と言った、かの裁判長はいずこへ…。
 傍聴席はほぼ満席。この日は清水建設の人事部長が証言することになっている。証言台の大柄な男は名を名乗り宣誓をして着席した。
 被控訴人として清水建設はこれまで(地裁においても)証言台に立ったことはなかった。今回は加害者本人に対する指揮・監督権、いうなれば人事権がどこにあるのか、またあったとすれば、今回の事件に対し何をし、あるいは何をしなかったのかを判断するための証言を得るためのもの。
 被控訴人側代理人からの質問は、人事権の所在はテクネットにあり、清水建設としてはやれるだけのことをしていたということを証明しようとしていた。例えば、加害者Kの出向は特別休職扱いであり、指揮・監督権はない。事件との関係では、テクネットの社長から「厳重注意」をしたとの報告を受けたが、懲戒処分ではない「厳重注意」であったため、立ち入らなかったと言うのである。
 控訴人側代理人としては、テクネット創設の際の基本覚書および就業規則と照らし合わせ、質問していった。
 その中で、「懲戒処分でないのは事実関係がはっきりしないから」という言質を取り、事実関係を調査しなかったことを明らかにしていった。
 平静を装っていた人事部長もさすがに動揺を隠せない。ここにきて、素直に事実を言えばよいのだ(大会社のやることにソツがないことを知らしめてやる)とタカを括っていたのに裏目に出てしまった。ソツはあったのである。

  次回第10回口頭弁論  4月10日(火) 午後1時15分より
     東京高等裁判所 809号法廷にて

 次回は終結したいとの裁判所の意向だが、以前のこともあるので気は許せない。早く終わってほしいのはやまやまだが、勝訴のためならいくらかの我慢もいたす所存。(P)




☆ 秋田セクシュアル・ハラスメント裁判
     Aさんを支える会を結成 ― 控訴審に向けて

 3月19日、東京において「声が出せない、抵抗できない、だから――セクシュアル・ハラスメントがなかったなんてフザケルナ!秋田セクシュアルハラスメント裁判高裁に!」という集会が開催され、80名が集まった。
 秋田のセクシュアル・ハラスメント裁判に対する秋田地裁判決(1月28日)に抗議し、控訴審に向けて頑張ろうというものである。
 判決の次の日の朝刊各紙は様々な角度からこの判決内容を報じていた。「セクハラ訴え、逆に名誉棄損」との見出しは、首都圏の朝日新聞のものだが、その表現に今回の判決内容が端的に表されている。出張先のホテル(どういうわけか横浜なのだ)で上司の教授からセクシュアルハラスメントを受けたという原告の訴えは退けられ、それどころか反対に被告の名誉棄損が認められるという反動判決に多くの女たちは怒った。マスコミの報道が今回の判決を固唾をのんで見守っていた女たちばかりではなく多くの心ある女たちの怒りと憤りを呼び起こしたのである。
 秋田のAさんが上京すると伝え聞いた女たちが、2月9日集まって首都圏での「支える会」が準備されることになった。当日の集会はこの支える会が主催した。
 高裁での弁護団は3名の女性弁護士が担当することになった。集会での3人の弁護士のお話を紹介したい。

● 角田由紀子さん−秋田地裁判決批判について
 この裁判の弁護団をやることになってわくわくしています。地裁の判決は、これまでの負けかたのパターンをまねたものであり、1992年の福岡判決が無視され、女性の性的自己決定権が認められていないという2点が特徴です。
 なぜこのような判決がだされるのかというと、性暴力やセクシュアルハラスメントがなされるのは多くは密室であり、第3者がいないために真っ向から対立する場合、事実認定において比較検討し、どちらが信用できるかを判断するが、被害者に対する偏見誤解や性的自由の権利への無理解によって誤った判断が下されるからである。横浜地裁、金沢地裁でのセクシュアルハラスメント、強姦未遂等への判決も同様である。秋田の裁判において被告側が「横浜地裁判決」を引き合いに出し展開しており、裁判官はそれを引き出しよりいっそうひどくまとめたものである。
 まず、強制わいせつ行為の事実認定で原告の被害を受けたときの対応が「通常でない、不自然」との判断根拠は、「声を上げて助けを求めていない、抵抗していない、冷静な対応をしている」ことによると述べている。
 被害者の対応は、裁判官の思いこみと同じではなく、多様であり秋田の原告のように対応する女性の方がむしろ多い。このようなことはアメリカでは既に1970年代に認識されている。秋田地裁での判決は被害写像への時代錯誤的理解、無理解といわざるを得ない。
 供述の信用性を経験則でてらすという手法は間違っていないが誰の経験なのかが問題である。女性の生活に根ざした経験ではないという決定的な限界がある。
 更におかしい点は、被告教授の通常では考えられない不自然さ、彼の弁解の非合理性などはいっさい経験則から言及していないのである。例えば、女性1人のホテルの部屋に入った不自然さ、暴力行為に出たのは唐突との判断、電話での会話における話題の認定等々は無視されている。
 名誉棄損の認定においては更におかしい。終結間際の提訴であること、雑誌社、記者は訴えられず原告のみが訴えられていることは考慮されていない。これは原告への報復であることは明らかであるのに。
 総じて今回の判決は歯切れが悪い。迷いつつも女の人間としての尊厳を軽く見ている判決
だ。

● 中野麻美さん−控訴審の課題について
 判決分は迷いながら書いている様子がうかがえるものだが、次の2点で誤った判断をしている。
 @原審での強制わいせつ行為があったかどうかの判断にセクシュアルハラスメントは性差別であり労使関係上の問題であることに触れていない。研究者の社会はとりわけ差別社会である、加害者は教授、被害者は非常勤職員であることなどが考慮されていない。
 A裁判官自身が性差別社会の考え方を身につけている。
 このような中で裁判に取り組んでいくには署名を集めるといった安易な方法ではなく、多くの人が裁判に生の声を反映させる方法で参加するやり方がいいと思う。多くの女たち等の声を証拠として提出していくというやり方である。そのためにもネットワークを組み、この闘いを共通の財産にしていこう。

● 渡辺智子さん−セクシュアル・ハラスメント裁判の意義について
 セクシュアルハラスメント裁判で画期的だったのは「福岡判決」である。金額は低いが中身は良い内容だった。負けている裁判が多いということではなく、勝つべき裁判が負けている訳でむしろ勝っているほうが多いと思う。
 勝利した裁判でもその内容において検討し深められていないものが多い。昨年末の東京地裁での判決は、女性の痛みを理解している良い内容であった。
 秋田地裁や横浜地裁の判決は裁判官の誤った認識が裁判に反映したものでそれは日本の社会が抱えているものでもある。横浜判決を受けたとき(渡辺さんは私たち横浜裁判の原告代理人として健闘中である)、被害者が裁判で闘うのは無理なのではないか、裁判が長期にわたるうえに原告側には刑事裁判レベルの立証責任が求められているのではないかと思った。密室のセクシュアルハラスメントを争う壁の厚さを感じ、へとへとの状態にさらに立証を求められるのではとてもしんどいので別の方法があればいいと思った。均等法改正の中で解決の道があればと考えたが、調停の道は切り開かれなかった。
 この裁判はご本人にとっても重要であるとともに、セクシュアルハラスメントを問題にしていくものにとっても重要な裁判である。

◎ 秋田原告Aさんの挨拶
 判決を聞いたときには世界中に見放されたような感じがしましたが、いまは皆さんに励まされてやる気が出てきました。悔いのない闘いをしたいと思う。

(会場からの発言も沢山あり、共にAさんの闘いを支援していきたいという雰囲気が盛り上がったのですが今回の報告では略させていただきます。)
 3人3様のお話はそれぞれ心に響く内容を持っていた。この素晴らしい女性弁護団と凛々しいAさんの四人五脚はきっと女性の新しいページを開いてくれる、そんな予感を感じさせる集会でした。
 保守的な風土の中で、そして大学の研究室という閉鎖的な環境の中で働き続けながら闘うことはさぞかし大変でしょう。でも、全国の女性たちが声援を送っていることを忘れないで頑張って欲しい。横浜の支える会は同じ攻撃と闘い連帯したいと考えています。(Q)


   第1回控訴審  6月4日(水) 午後1時15分
     仙台高裁 秋田支部にて

 秋田でも、連合秋田や秋田コミュニティユニオンを中心にして「秋田農業短大セクハラ訴訟を支える会」が3月15日結成された。「秋田セクシュアルハラスメント裁判Aさんを支える会」とはネットワークを作って連帯していくことになっている。


1997年 H.9 1月29日(水) 「毎日新聞」
   「ホテルの一室で女性の肩に手」はセクハラじゃない?!
 秋田地裁判決 教授への訴え棄却 女性に慰謝料支払い命令

 学会の宿泊先で上司の教授から強制わいせつ行為を受けたとして、秋田県立農業短大(同県大潟村)の非常勤研究員の女性(44)が、同短大教授(53)に慰謝料など334万円を求めた訴訟と、逆にこの訴訟で名誉を傷つけられたとして教授が女性に慰謝料など550万円を求めた訴訟の判決が28日、秋田地裁であった。2つの訴訟は併合審理されており、坂本宗一裁判官は女性に対して「強制わいせつ行為はなかった」などとして請求を棄却。一方、教授の請求については「名誉は傷つけられたが、ホテルの一室で女性の肩に手をかける常識を欠いた行為があった」としてその一部を認め、女性に対し教授に慰謝料など60万円の支払いを命じる判決を言い渡した。女性は控訴を検討している。
 女性の訴えによると、女性は1993年9月1日から3日間、学術会議出席のため教授ら3人で横浜市内のホテルに宿泊。学会最終日の朝、女性の部屋を訪れた教授にベッドに押し倒され胸を触られるなどしたという。これに対し、教授は全面的に否定していた。
 判決は「強制わいせつ行為に遭えば逃げるか非難するのが通常なのにそれもなく、被害者にしては不自然すぎる」としたうえで、@教授が女性に性的関心を抱いていた言動は学術会議までないA性的関係を迫るなら会話で合意を求めるのが通常で、暴力的行為は唐突すぎるBホテルの教授の部屋で飲酒しながら深夜まで話し込んだ日は何もなかったのに、翌朝、別の研究員をフロントで待たせているという状況の中で、わいせつな行為に及ぶことは考えがたい―――として強制わいせつの存在を否定。「教授は女性の肩に手をかけただけ」との判断を示した。
 判決に対し、女性原告代理人の小林弁護士は「強制わいせつ行為をされた際の逃げられなくなったという動揺した女性の行動、心理状態を考慮しない判決。判決でセクハラに泣く女性が裁判を起こしづらくなる」と批判している。


1997年 H.9 1月29日(水) 「朝日新聞」
   セクハラ訴え、逆に名誉棄損棄却 秋田地裁判決
 女性「押し倒された」と慰謝料請求
 教授は「肩に軽く手をかけただけ」

 「出張先でセクシュアル・ハラスメント(性的ないやがらせ)を受けた」として、秋田県立農業短大(波田野忠雄学長)の研究補助員の女性(44)が、同じ研究室の教授(53)を相手取り、300万円の慰謝料などを求めた訴訟などの判決が28日、秋田地裁であった。坂本宗一裁判官は「強制わいせつと言えるような行為はなかった」として請求を棄却、逆に名誉棄損で女性を訴えていた教授の慰謝料請求などを認め、女性に60万円を支払うよう命じた。
 2人は1993年9月、学会に出席するため横浜市内のホテルに宿泊した。女性の訴えによると、自室に入ってきた教授にベッドに押し倒され、性交渉を迫られた。これに対し教授は「女性の仕事ぶりへの感謝と励ましの気持ちを伝えようと部屋を訪れ、肩に軽く手をかけただけ」などと反論していた。
 判決で坂本裁判官は、女性がベッドに押し倒されるまで声を上げなかったなどと述べている点について、「強制わいせつ行為の被害者としては不自然」と指摘。
 さらに、2人は仕事上でも最小限の会話しか交わさないのに、教授が暴力的な行為に出たのは「唐突の感を免れない」などとし、「教授の供述のほうが信用性に勝り、原告の両肩に両手をかけたにすぎない」と判断した。
 一方、女性の情報提供で、教授が強制わいせつ行為をしたとの記事が地元の雑誌に掲載されたことなどから、「被告の名誉感情が著しく侵害された」と認めた。

女性側は控訴検討

 判決を受け、女性の弁護士は「恐怖で大きい声を出せない女性もおり、判決のように決めつけるのは間違い。今後、セクハラを受けた女性が裁判を起こしにくくなる判決だ」と控訴することも検討している。一方、教授は「真実を明らかにすることができてうれしい」とのコメントを出した。


1997年 H.9 1月29日(水) 「河北新聞」
   「保守的な判決」 県農短大"セクハラ"訴訟
  敗訴の女性側抗議

 行為があったかどうかをめぐって、双方の主張が真っ向から対立した県農業短大の「強制わいせつ訴訟」で、秋田地裁は「強制わいせつ行為があったとは考えにくい」との判断を示した。女性側に対しては、名誉棄損の慰謝料など60万円の支払いを命じるなど、女性側の全面敗訴となった。
 判決後、女性側の支援団体は秋田市中通の労働会館で集会を開き、原告女性(44)は「この判決で、同様のことで苦しむ全国の女性がひるまないことを望みます」と訴えた。支援者代表も「女性にとって古典的で保守的な判決に抗議します」と強い口調で述べた。
 これまでの弁論で、宿泊先ホテルでの行為について、女性側は「暴力的強制わいせつ行為」、教授(53)側は「肩に手を置いただけ」と主張。室内で目撃者がいないため、判決では「双方の供述の信頼性」が争点となった。
 坂本宗一裁判官は、女性側の供述について@押し倒されても抵抗しなかったA行為から逃げたあとに非難などをしなかったB教授が口ごもったことに対して、女性が「だれにも言うなってことですか」と話した−などから「強制わいせつ行為の被害者としては不自然」とした。
 さらに、女性側が証拠として提出した教授との電話の録音テープについては、教授が女性の両肩に手を置いたという前提の会話であるとした。
 また、2人は研究室では、最小限の会話しかない関係であったこと、チェックアウト直前の午前8時ごろの出来事で、同行した同僚がフロントで2人を待っていたことなどを挙げ、「供述や前後の状況からして、強制わいせつ行為があったとは考えにくい」と最終的に判断した。
 その上で「強制わいせつ行為がないことを知った上で提訴したことは、正当な権利行使とは言えない」として、女性の行為が教授の名誉を傷つけたことを認めた。



☆ 「声が出せない、抵抗できない、だからセクシュアルハラスメントはなかったなんてふざけるな!」に参加して

 原告Aさんの「一審が出たとき、世界中から見捨てられたように思った」という発言を聞き、涙が出てきました。その時のAさんの怒りや深い悲しみ、憤りや孤独感や絶望感は、どんなに大きかっただろうか?と思いました。
 会場から、北区でS・Hの被害に遭い裁判をしている女性から「被害女性のネットワークを作りたい」、又大阪で矢野事件の裁判の支援をしている女性から「キャンパスS・Hの問題のネットワークを作る動きもある」という話に、とても励まされました。
 弁護団からもこの裁判に積極的に取り組みたいという発言があり、とても力強く感じました。
 2月27日に、カナダで性暴力の被害者のためのセンターを担っている女医エリザベス・ワイノットさんの話を聞きました。
 エリザベスさんは、「性暴力の被害者は、いろいろな対応をする。どんな感じを持っても、どんな反応をしたとしても、これが正しく、あれは間違っていると言えるものは何もない」と話されました。
 また、私はまだ読んではいませんが、「心的外傷と回復」(ジュディス・L・ハーマン著、みすず書房)という本の中では「日常での被害がかたちさえ認められずにきた。それがいかに大事か?いかに攻撃されてきたか?」と書かれていると、読んだ方から聞きました。(英語が読める人は原書で読んだほうがいいそうです)
 判決文の「騒ぎ立てない、冷静だったからS・Hはなかった」というのがいかに間違った認識なのか?このような人の話や、この本からもよくわかります。
 私たち女にとっては、あたりまえのことですが、このような人や本からも学び、正しい認識を言語化できたらいいなと思っています。
 女たちにとって非常に困難な社会に生きていると改めて認識させられる判決でした。
 しかし、原告のAさんをはじめ、多くの女性達が、力強くなり、つながり、支え合っていける可能性も大きいと感じました。
 私はそのつながりの輪の1人になれたらいいなあと思いました。(T)




☆ 許せない!秋田地裁判決 −1月28日に言いたい放題−

K. 新聞にも載っていたけれど、秋田のセクシュアルハラスメント裁判の判決はひどいよね。原告の訴えが棄却されて被告の名誉棄損を求める反訴の方が認められてしまったのね。判決文をざっと読んだけど、「原告の行動は強制わいせつ行為の被害者としては不自然」というのが横浜の判決と共通しているところね。
 例えば、「声を上げることもせず、被告のなすがままにされた」とか、「被告の手が汚らしく感じられた」という原告の証言が「冷静な思考に基づく」とか、行為の後で被告に紙片を差し出したのが不自然とか。声を上げたり抵抗したりするのが「通常の反応」という決めつけがあるのよね。
 それから、「KEN」という雑誌の記事は、原告は被害を裏付けるために取材に応じているのに、裁判官は「被告の主張を裏付けるのに充分な証拠である」という認定をしているのよね。

Q. あの、「KEN」に録音テープを渡したっていうのはどういうことなの?

K. 原告は被害のあとで、被告に電話をかけて謝罪を求めたことがあって、そのやりとりを録音したのね。それを「KEN」の記者に渡して、それが記事として掲載され、被告が名誉棄損で訴えることになったの。

P. それは裁判が始まる前の話なのかな。

K. ええと、裁判の前だと思うけど。取材を受けたのは平成5年10月で、記事になったのは12月号で、提訴は12月中旬だから。

P. マスコミに訴えるって、ちょっと危険な面があるけれどそうしかできなかった理由があったのかな。何かとってもせっぱつまったものを感じるよね。まわりに支える人はいたのかしら。

K. 諸刃の刃というか‥‥‥

Q. ちょっときわどい選択だったかなとは思うけれど。

P. そうするしかない状況だったのかもしれないね。だけどこの判決、負けたってこともあるけど、名誉棄損で訴えられたことは大きいね。

Q. 他の裁判への影響もありそうだね。矢野事件とか、八王子の控訴審とか。

K. 記事を書いたマスコミが訴えられないで、彼女が訴えられたのもおかしいと思う。

P. 新聞にも、「裁判が起こせなくなる」って書いてあったけど、その通りだと思うよね。これが認められると、これから裁判をするのが本当に大変になるね。    (2月22日・於、クラブA事務局)



☆ 宇都宮セクシュアル・ハラスメント裁判傍聴記

 3月13日、第21回目の口頭弁論が開かれたこの日の宇都宮は快晴。しかし、原告のKさん、弁護団の福島・渡辺両人は花粉症シスターズで、全員でかいマスクでクシュンクシュン状態。天気のいいのも、あまりありがたくない様子。
 傍聴券を待つ列は、抽選ぎりぎりの29名が並び、マスコミ席もいつも通り5〜6人くらい。この裁判への関心は薄まっていないことが判る。むしろ秋田の裁判で、あまりにもひどい判決が出た直後でもあり、裁判所にこれ以上の人権侵害を許さないぞ、という気持ちで駆けつけた人たちで、法廷が埋まった。
 この日は、被告側の証人、M氏に対する尋問。彼は、被告セントラルファイナンスの社員で、被告Sとも親しかったらしい。KさんやSを含めて営業の何人かで飲みに行ったときの様子などを、Sの代理人の斉藤弁護士の問いに答える形で証言した。
 酒の席で猥談が出た、と証言したのは、猥談が出るような席でもKさんがイヤな顔もしないでみんなと一緒に興じていた、と描くことで、性的に「さばけた」女であり、多少のセクハラぐらいなんとも思わなかったはずだ、とでも言いたいのだろうか?男共の猥談に、イヤな顔をして席を立つこともできない、というのが環境型セクハラそのものではないか。自分の証言の意味を、Mも弁護士も判っているんだろうか?
 彼はKさんを、「誰にでも思っていることを話せるさばけた女の子」だと思っていた、と証言した。これも意図としては、セクハラを黙って受けているような女じゃない、とでも言いたいのか?しかし、仕事のうえで思っていることも言えなくて、営業がつとまるのか?それと、性的な被害を受けたときに、それを言葉で訴えることが出来るかどうかは別の次元の問題だ。Kさんは営業のセンスがいいとか、仕事が出来る人と言ってみても、彼の口から出ると気持ちが悪い。彼の意識(同時にセントラルファイナンスの企業風土でもあると思うが)では、仕事が出来るイコール男まさり・男みたいな女、という図式が明らかにある。しかも、女の子、女の子、と連発する。「営業は本来難しい仕事ですから、Kさんは女の子だから、自分も仕事を教えてあげた」という言いぐさには、開いた口がふさがらなかった。この会社は4年も裁判をやっていて、何を学んだんだろうか?
 Mは直接の当事者でもなく、証言も伝聞や推測が多く、あまり重要な証人ではないから、原告代理人側からの反対尋問では会社側の姿勢や、企業体質を引き出すような質問がされた。
 Kさんが退職を余儀なくされた後、Mはその事について上司から「Kさんが来なくなっちゃった」と聞かされ、どうしたんだろうと思ったとか、Sが暴力的にキスして、その後「謝った」という事件についても、上司から「雑談の中で聞いた」とも答えた。
 会社側証人によって、セントラルファイナンスは、一度たりともきちんとした対応を、職場においてしたこともなかったことを、じつにあっけらかんと認めてしまったのだが、その事の重要性すら認識していないのではないだろうか。
 問題なのは、裁判所も同様のレベルではないかという危惧だ。

 この日、原告側からは、国際キリスト教大の池田理知子先生による鑑定意見書が提出された。池田先生の専門は異文化コミュニケーションで、異なる文化と出会ったときにおきる、意識のギャップの問題を研究されているらしい。男女の間にも異文化に似た価値観や常識があり、その意識差にもセクシュアル・ハラスメントを生む一因がある。だからこそ、企業は積極的な防止義務があるといえる、ということを立証するためのものだそうだ。(この鑑定意見書未読なのでこの程度のことしか言えませんが)
 次回公判は6月26日(木)。次回かその次くらいで結審になる見通しです。裁判後の話し合いで、7月5日(土)に、裁判勝利に向けて、宇都宮で集会を行うことが決まりました。詳細は未定ですが、みなさんからもアイデアや協力をぜひぜひ、お願いしたいと思います。    (すみれの会/スモール・ストーン)



☆ Aさんコーナー

@ 2月上旬、会社の若い人たちに誘われて生まれて初めてスキーに行って、生まれて初めてスキーをやらずにスノボをやってしまった。今ごろになって自分が新たに何かに挑戦するなどとは思ってもいなかったのに、気付いたらやっていた。不思議な気分だった。
A 3月に入って花粉症本番。今年は眼科に通っている。
B 会社で昼に約10人分の味噌汁を作っている。おかげで具のレパートリーが増えた。
C 会社で毎朝1時間以上掃除をしている。おかげでトイレ掃除も上手になった。
D 会社で毎朝洗濯をしている。おかげでタオルたたみも上手になった。
E 会社に持って行った鉢植えの花が異常増殖している。日当たりの良さとガンガンにかかっている暖房のせいらしい。
F 今の仕事が7月まで期間延長になった。人材派遣という切ない家業ではあるが、だからこそ必要とされることのありがたさが身にしみる。それは人を元気にさせてくれるものでもある。
G 先日、人が来るからといって食料品を大量に買い込み、1ヶ月は籠城できるくらいに冷蔵庫を満杯にしてしまった。ちょっと持て余している。
H 警察学校に7ヶ月いて、それから転向して刑務所の看守になり、配属が医務課だったのがきっかけで看護士になる勉強をしているKさんと知り合った。
I 3月9日、秋田S・H裁判原告Aさんのお話を聞く会に行ってきた。横浜の一審判決がそのまま引用されたような結果には目の前が暗くなるような気がしたが、Aさんは控訴を決意したそうである。
J 押し入れに眠っていた毛玉取り器でジャージの毛玉を刈ったら、買ったばっかのようになった。ウレシイぞ。
K この3月16日に私は生存日数31年が経過した。
L この3月20日で我が両親は結婚32周年を迎えた。「よく、飽きずに一緒にいたものねぇ」と冗談めかして言う母は幸せ者だと思った。
M もらったスイートピーのミニ鉢植えセットを会社に持って行って種を蒔いた。期間満了までに咲くかどうか、楽しみである。



☆ 3・3女のゼネストに参加して

 正午、厚生省・労働省前にはテーマカラーのピンクの腕章も眩い女たちが200人ほど参集していた。主催は「女のゼネスト」実行委員会。均等法の「改正案」が国会に上呈されているさなかの行動として、マスコミも注目しているらしく、各局のカメラが動き回っていた。
 保護規定の撤廃を中心とした今回の「改正案」にノーと言おう、セクハラを許さない内容を!といった主張を、宣伝カーの上から次々と発言していく。発言中のさ酒井和子さんが倒れ、救急車で急遽入院となった。(後日、くも膜下出血とのことで、緊急カンパを募って早い回復を願った)彼女の安否を気にしながらも、テーマソングのパフィーの「これが女の生きる道」の替え歌をみんなで歌い、元気を分け合う。日差しは暖か。
 マスコミは数少ない男性参加者にマイクを向け、あいかわらず「今日はお仕事は、どうなさいました?セクハラについては?」などと聞いている。(どーしようもない男が取材しておる)巾広のピンクのリボンを繋げて、省舎を包囲した後、盛り上げ隊のちんドン屋さんをしたがえて、日比谷公園から省舎を回って銀座を元気よく行進した。
 来年も!必ずやってやろうじゃん!   (P)



☆ 3・8国際女性デー・女たちの祭り にぎやかに女が世界を変えなくちゃ!

 今年で5回目を迎えるおんなたちの祭りは、3月9日、東京ウィメンズプラザで行われた。オープニングに記録映画「女たちの証言」−労働運動の中の先駆的女性たち−が上映され、その後、寿バンドによる歌と演奏を満喫した。午後からは各分科会がもたれ、分科会終了後には、リレートークとして各分科会からや、様々なアピールが寄せられた。
 最後に、秋田セクシュアル・ハラスメント裁判に対する秋田地裁判決に抗議する決議が拍手で採択され、代々木公園までを行進した。   (P)



《 編集後記 》

 みずらへの相談者が離婚する夫より慰謝料として62円切手を山程もらったので買い取って欲しいとのこと。いいとも!と受けおったが、今回の郵送にあたって、18円切手がもう発行されていないという現実にぶちあたった。どこまでも迷惑をかける元夫と、郵政省の値上げをした後のフォローのなさに頭に来る。せめて慰謝料は現金で払わせよう。(P)

 最近色気のないところがイターイ!!こぐまです。何とかならないものでしょうか。裁判に勝利して皆で笑い合える日が早く来ますように!!(こぐま)

 3月9日の女たちの祭りで、またまた学生時代の友人と劇的な再会をした。彼女はキューバに住んだりエチオピアに行ったり、世界をまたにかけて活躍しているのだそうだ。それにしても、30年近くも会わなかったのに変わっていない。今年は再会の年になりそうだ。会いたいなあと思っていると伝わるのかな。(Q)

 ストナリニ、エスタック・ニスキャップ、コルゲンソフト‥‥‥「これがオススメってぇのはありますか?」と薬局で訊くと、「うちの店長もこれ使ってます」といって、ベルエムピというやつを出された。ベンピの兄弟みたいで頼りない名前だが、眠くならないところは気に入っている。(ズバピタ・ヘッドは東芝ルポ、ズビズバしているのは私の鼻、のA)



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