魚肉が沈殿していることがあるので、よく振ってお飲みください。
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南アルプス公園線・白鳳渓谷の紅葉

【2004年10月30日】
相模湖I.C~甲府南I.C~R358~R140~3号・甲府市川大門線~4号・市川大門鰍沢線~R52~飯富橋交差点県道410号~早川橋~37号・南アルプス公園線~奈良田~広河原~奈良田~37号・南アルプス公園線~上沢交差点~R300~本栖湖~R139~R138~県道729号・山北山中湖線~R413・道志みち

 雨だった。それでも「白鳳渓谷」の紅葉を見に、広河原まで行って来た。
 奈良田から先が、11月1日から冬季閉鎖に入るので、この週末が最後のチャンスだと、山梨県HPの「おはよう!観光係長」で紹介されていたもので。
 思えば、ネットサーフィン中に「白鳳渓谷」の素晴らしい紅葉風景を見てしまったことが、我が家の“林道への入口”だった。奈良田まで行って通行止めに遭い、同じ道を引き返すつまらなさに、何も考えず地図にあった丸山林道へ入り込んでしまったことから林道巡りが始まったのだから…。
 甲府南I.Cから精進・本栖湖越えで下部へ降りようと考えていたのだが、先日の台風23号で右左口トンネルの先が通行止めになってしまった。そこで身延みちを通ったのだが、やっぱり遠い。37号の入口から奈良田までがまた、遠い。



37号・南アルプス公園線をひた走る。



奈良田ゲートには3人ぐらい、おじさんがいた。
私たちが通りかかると通行時間を印刷した紙をくれながら、「紅葉?」と愛想よく聞いてくれた。
翌月曜から閉鎖なので、本当にシーズン最後の土曜なのだ。
同じように紅葉狩りに来た観光客が朝から何人も通ったのではないかと思った。


 
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甲府盆地のほうではやんでいた雨が、また少し降ってきた。
しかし、夜叉神峠を越えてくる南アルプス林道が遥か高みに見える様子は、
空模様がどうでも感嘆の声を上げずにはいられない。


 
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幾重にも重なる山影の向こうに雪を戴いた峰が見えた。
もう11月である。このあたりの冷え込みは神奈川の平地あたりとは大違いなのだろう。
その証拠に、今までに見たこともない全山紅葉が見えてきた。


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夏には緑の中に白かった流れが、今日は油絵具が盛られたパレットの一色のようである。


 広河原の少し手前で、かなり大規模な工事が行われていた。
 冬季閉鎖といっても、実際に路面が凍結したり、積雪がひどいというのでなければ作業はできるのだろうから、土日ぐらい作業は休めばいいのにと思ったが、そんな悠長なことを言ってはいられないということを、あとで、知ることになる。


 広河原に着いた。
 夏とは全く違った静けさである。


 

北沢峠へと向かうゲートのそばから吊り橋のほうを見てみた。
夏(右写真)と同じ場所とは思えないほどの色彩である。


 
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更に奥のほうへと目を向けると、既に紅葉は終わり、しらっ茶けた裸木が斜面を痩せ細らせていた。
左の夏の写真は雲が出てしまっているが、それでも細く雪渓が残っているのが見える。



アルペンプラザにジオラマがある。
いつもカーナビまかせで地図など見ない人たち、また、広域図ではなく詳細図だけを見ている人たちには、
こういった三次元の“肉付け”をしっかりと見ておく必要があるのでは、と思わないでもない。
自分が目指す場所、その数字でない確かな標高と質量、比べてみれば砂粒ほどもない自分のサイズ。
web上でいくら情報のやりとりをしても掴みきれない「全体像」が、こんな素朴な模型で確認できるのだ。


 

樹木に詳しくないのでわかりかねるが、この木は、広河原を訪ねる人全てを迎える場所に立っている。
しかし、初めて広河原に来た人は周りの景色を見ることに忙しく、この木の存在に気付くのは、
いざ帰るときになってからだろう。右写真は賑わう夏の様子である。



気付いたが、大勢いると思った紅葉見物の観光客など、ほとんどいなかった。


 車に戻ろうとすると、北沢峠までのマイクロバスがちょうど出て行くところだった。10km25分で片道520円だったか。登山目的でない人も、景色を見るためか乗っていた。一方通行規制の時間に合わせて、時間内に戻ってこられるようなタイムスケジュールが組まれているらしかったので、一瞬、乗ってしまおうか!?とは思ったが、きちんと調べていなかったので来年にしようとあきらめた。まさかそれが、大きな後悔を招くことになろうとは思いもしなかったが。



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 アルペンプラザでアンケート用紙の記入を求められて応じた。奈良田~広河原間の通行規制や、工事についてのものだった。
 工事は安全な通行のために必要なものだし、道路の状況を考えれば規制はもっともだと思われた。しかし考えの違う人たちもいるのだろう。
 その中に、乗鞍のようなマイカー乗り入れ禁止についての是非を問う項目があって、はっとした。
 そんなことにならなければいいがとは思ったが、自然保護や通行の安全を考えれば、否とは答えられなかった。



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広河原入口の橋の手前の山腹も、7月に来たときは崩落後の山砂がむき出しに見え、
上のほうの岩は今にも落ちそうに不安定だった。
こうして防災工事が行われたおかげで、我々は今ここを通ることができているのだ。


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来るときにもガードマンに停められた、大きな防災工事現場にさしかかった。
先行していた数台の車とともに数分間、重機の移動待ちである。
静かな谷間に重機の騒音がやかましく響いている。
広河原では止んでいた雨がまた降り出してきた。帰りは丸山林道で戻ろうと思っていたが、なんだか心配になってきた。


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前に何台か同類の車がいたので、のんびりと左手の紅葉を写真に撮ったりして待っていた。
そのときはなんということもなく、正面のトラックからその上の辺りに目を泳がせていた。
すると、人の頭ほどもあるような角ばった岩が山から剥がれ、
ドーン!とものすごい音を立ててトラックの荷台に落ちたのだ!!
一瞬のことだった。岩とはあんなに早いスピードで落下するものなのか!
あとを追うように、小さな岩のかけらがポロポロと崩れ落ちた。
なのに、下にいた作業員は特に気に留める様子もなく、もちろんケガもなく、平然と作業を続けているばかりである。



急に恐ろしくなった。
今まで足元の悪い道も落石がゴロゴロ落ちている道も平気で走ってきた。
スタックもパンクも亀の子になったこともいちどもない。
しかし、それはただ幸運だっただけなのではないか。
車列が動き出した。前の乗用車を追うようにして重機のそばをすり抜け、現場を離れた。
今にもさっきのような石が頭上から降ってくるのではないかと気が気ではなかった。


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 しばらく走りながら考えた。
 林道は悪天候のときには入るものではないとどこかで読んだ。
 気付くと、時間がもう昼近いので、スペースのあるところで停まって車中食にした。雨はひどくなる一方で止む気配がない。
 丸山林道は危ないのではないかと話してみた。しかしkiriは何とか行けるのではないかと言う。

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 奈良田まで戻ってきた。
 雨はまだ降り続いている。奈良田ゲートの手前で、左へ、丸山林道への分岐に入ると、前方の坂をゲート係のおじさんが降りて来るのが見えた。左手に拾ったゴミの袋か何かを下げている。進むかどうするか、林道看板を見ながら考えていると、近づいてきたおじさんが右手に持った火ばさみで、ちょうど落ちてきてドアミラーにくっついた落ち葉をパクッとはさんで取ってくれた。そして、「行くのはやめたほうがいい」と言ってくれた。
 右左口トンネルの先が崩れた先日の台風23号通過後、通行止めが解除になってからまだ誰も走っていないということだった。何より恐ろしかったのは「4台目になっちゃうよ」というひと言。…過去に車が3台、落ちているということだった。


  

すっかり諦めがついた私たちは素直に37号を戻ることにした。
ゲートのおじさんたちにあいさつをして、降りしきる雨の中、下部からR139へ抜けた。
途中、「紅葉台」という気になる看板を見かけたが、これも次にして道志みちで帰ってきた。

遠出をすると、「せっかくここまで来たのだから」と、ついもったいなく思って無理をしてしまうことがよくある。
しかし、不案内な土地や人里はなれた山奥で事故でも起こせば、自分たちが難儀なだけでなく、
周囲の人たちや関係者にも、相当な迷惑をかけることになるのだ。
山登りを趣味とする人たちもよく言う。「山は逃げないから」と。
悪天候などの理由で登山をあきらめなくてはならないときでも、そう考えて「また来よう」と笑うのだ。
自分たちの都合のためだけに行動して林道が閉鎖されることなどないよう、気をつけたい。


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