魚肉が沈殿していることがあるので、よく振ってお飲みください。
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【11.10.1・2】

横浜市磯子区にあるスズキのお店「SBS南」の一泊ツーリングイベント。
集合、午前5時。
赤い金魚の群れに1匹の黒出目金が迷い込んだ。
目的地は恵那。

横浜市内を7台で出発。
中央道:相模湖I.C手前のコンビニと言ったら誰でもピンとくるセブンイレブン相模湖西店でコージ氏と合流、
全8台が揃う。




(マウスオンで後ろからが前からにチェンジ!)
奥/モネビー氏:SUZUKI:GSR  中/どんぐり氏:KAWASAKI:Z1000  手前/ゴージャス氏:SUZUKI:DR-Z400SM
みなさん、ホイールまで抜かりがない。(以下敬称略)

中でも、ダンディでスマートなゴージャスが乗るとさらにカッコイイことこの上ないDR-Z。
http://www1.suzuki.co.jp/motor/dr-z400sm/index.html

「興奮は日常の中に。」

というコピーがゴージャスにピッタリ過ぎて可笑しくて仕方がない。しかも400の「SM」とは…。(ゴージャス=どう見ても根っからのM)

ちなみに、「モネビー」とか「ゴージャス」というのはハンドルネームならぬ「ミナミネーム」。(笑)




いつもの保土ヶ谷BP、いつものR16、いつもの相模湖への道、いつものR20、いつもの笹子TN、いつもの大和村、
いつもの勝沼あたり、いつもの盆地横断、いつもの国母あたり、いつもの…と、全く見慣れた通り慣れたルートだった。
ところが、いつもと全く違った。
見える景色が違う。全てがスピードを上げて現われた瞬間に後方へ飛び去ってしまう。これは動体視力の問題ではない。

相模湖西のセブンイレブンを出て2時間ぐらいか、R20をひた走って甲府昭和I.Cを通過、
富竹新田交差点先のデイリーヤマザキに入ってバイクを降りた途端に青山店長が吠えた。

山梨ってなんもナイのなー!…停まろうと思ってんのにさぁ」

ワッハッハ、この辺がいちばん無いんだ。20号より脇道へ入った所のほうがあったりするのが山梨。(笑)
もう少し先の双葉を越えたあたりからなら、トレーラーが停まれる大型P完備のコンビニが結構あったと思うけど。
(韮崎を越えるとコンビニの他には何も無かったりするし)
みなさんの走りっぷりからして、道の駅白州か蔦木宿まで行っちゃうんじゃないかと思っていた…。

このあと、富士見から茅野へ入り諏訪I.Cから中央道に乗る。
先頭はETC未搭載の2台。DR-Z400 SM@ゴージャスがペースメーカーで、続いてインパルス400@ふうちゃん。
そのあとに参加最少排気量のCBR250R@30と、GSX1100S 刀@青山店長。
それから運転の上手い2名、V-ストローム DL650@コージ&KAWASAKI:Z1000@どんぐり。
ケツ持ちがGSR@モネビーとGSX-R@アカ君。
(オートバイに詳しくないので車体に何も書いてない車種や排気量などはよくわかりません)

景色の記憶がいくつか脳裏を掠めて飛び去っていく。本当に、何かを考えているヒマがない。
さっきの休憩で“ヤク”を入れておくんだったと後悔する、R20山梨北部。

…バイクが速いなんて、誰が言った?と、バイクに乗り出してから時々呟くようになった。
いつもほぼトコトコお散歩ペースなので、追い越して行く車に不審がられているように感じることがある。そんなとき、
世の中の全てのバイクが車よりも速く、渋滞もすり抜けて、カッコよく颯爽と風のように走り抜けて行くわけではないと、
自嘲ではなく、自重して言う。
高速だって、流れにさえ乗っていれば遅いなりに左車線にいて構わないはず。
ただ、このときはちょっとスピードが遅過ぎた。CBR:SAI号に乗り始めて痛くなった右股関節のあたりがどうしようもなく、
もう富士見手前の県境あたりからついて行けなくなっていたのが高速で一気に。
ケツ持ちのモネビーとアカ君がものすごく困っているようだった。実際、

「もうちょっと速く走らないと危ないよ」

と、あとで注意される。

…今回のツーでは高速を使うと早くから聞いていたし、
9月のライディングスクールの帰りに湾岸のI.Cでどんぐりさんをお待たせしてしまったし、

「ETC、あったほうがいいですよ~

と、さんざん勧められてしまったし、実際にCBRに乗ってみて80h/kmがラクに出ることがわかって、
試しに高速に乗りに行ってみて、これならイケると判断したので、高価なETCを「高速に乗るため」に取り付けた。
でも、これではいけないのではないか…と思った。
100h/km巡航もしくはそれ以上のスピードで2~3時間走り続けられるくらいでないと、高速に乗る資格はないのではないかと…



(マウスオンで写真がチェンジ)
諏訪湖S.Aで昼飯。4人掛けのテーブル2つを占拠して8人全員でごはん。
ラーメン、うな重、カレー、そば、さくら丼、わかさぎフライ…それぞれのごはんをみんな一緒に8人で。
「団体」
に混じっているということの不思議。
その一員であるということの不思議を感じる、異様なひと時。
とにかくここでヤクをやって、このあとの行程に備える。(鎮痛剤を飲みながらの旅というのが既におかしい気もする)

ここで店長が、途中合流のメガネ君に何度も電話をかけるのだけれど、いっこうに通じない。

Pへ戻ると「一団」のバイクたち。こうして並んでしまえば自然と混ざって馴染んでしまうSAI号。
DJEBELのときのように見るからに1匹違う種類が…という感じは、ない。けれど…。



(マウスオンで「でらうまいコーヒー でら!ジョージア」)
諏訪湖S.Aを出て高速を全力で走る。全力なのは約一名のみ。あとは流していただけだと思う。

目的地を
「恵那」
としか聞いていなかった。
道中の話の言葉の端々から、どうやら中津川I.Cで降りて、そこから下道らしいということがわかっただけ。
宿泊場所がどこなのか、聞いてはいない。
中津川手前の神坂P.Aで時間調整&休憩。
このあと宿近くの駅で合流することになっているメガネ君と、まだ連絡が取れない。

「携帯家に忘れてんじゃないの?」
「電源切ってるとか」
「充電切れに気付いてないのかも」
「便所に落としたんじゃねぇ?」
「案外忘れてたりして。え?来週じゃなかったんでしたっけ?とか」
「ひにち間違えてんじゃないですかね」

憶測が飛び交う。
実はメガネ君は転勤(?)先の今治から、「みんなと飲みたい」という理由だけで、今日、恵那まで来る。愛媛県の今治から。
ひとりでバイクで来るのは危ないから電車にしろという店長命令で新幹線や中央本線を乗り継いで、
なんと明知鉄道の飯沼駅まで来るというのだ。



(マウスオンで写真がチェンジ)
無人駅だった。そして「勾配日本一の駅」だそうだ。
こんなところで「日本一」に出会うとは。別に狙って来たわけでもないのに。


 

「パーミル」は日本語では「千分率」。記号では「‰」。読み方は知らなかったけれど見たことはある。



(マウスオンで紙がなかったので捺せなかったスタンプ)
「これが日本一の勾配なんて、大したことないじゃーん!?」

と声が上がる。確かに、ケーブルカーの駅なんて、もっとすごいもんね。(あれは普通の鉄道じゃないけど)




それよりこっちのほうがすごい感じはした。
土建業経験から「山砂(やまずな)」という言葉には慣れているけれど、「山水」とは…。
要は水道水では無くて、飲用の基準に叶うかどうか検査もしていないから、
便所の手洗いに使う分には問題ないけれど、飲むなということか。
無理矢理蛇口なんか通すから詰まるわけで、
山の斜面の岩の間に「雨どい」の切れっぱしみたいなやつをブッ刺してあるところみたいにしておけば問題無さそう。




駅のそばには踏切。



(マウスオンで写真がチェンジ)
やると思った。こういうやつ、クラスに必ず1人はいる。(笑)




駅の周りには特に何も無く、起伏のある田園風景が広がっているだけだった。




本当にこんなところに電車が来るのだろうか?本当にメガネ君はここへ向かっているのだろうか?

「線路に耳つけると音でわかる!」

とか、「スタンド・バイ・ミー」みたいなことを言っていたのは誰だっけな。
そして、電車は定刻通りに来た。




電車が駅に停まって、ドアが開いて、ちょっと間をおいて、片手にメットを下げて、メガネ君が降りてきた。
歓声が湧き上がる。
ちょっとモミクチャ状態にみんなを喜ばせたメガネ君、

「オマエ、携帯どうしたんだよ!」
「失くしました」
「いつ?」
「今日」

…どうやら、今治から岡山まで乗った特急の中で落としたらしいと…。
よりによって今日のこの日にそのタイミングで。思いっきりいじられキャラの面目躍如。

「さすがメガネだなー!!」

と称賛を浴びて、やっぱり嬉しそうにしているメガネ君。
もそもそとカバンの中から取り出したのは、みんなとお揃いの赤いジャケット。

「エライ!!」

ほめられてもけなされても全く気にしない様子のメガネ君。(笑)
このあとコージ氏のV-ストロームに乗っけられて宿まで運ばれる。



(クリックすると大きな写真に
この明知鉄道、他にも日本一や日本で2番目があったりする。たった11駅しかないのになかなかすごい路線らしい。
しかし、時刻表の見方が難し過ぎてわからない。(笑)

今思えば、この時がいちばん旅行気分だったかもしれない。




宿に到着してぎゅっ!と駐車。上手く寄せて並べないと全部がロックで繋げないので。




軽自動車専用スペースを占拠。




宿は国民宿舎だった。
公共の宿「国民宿舎 恵那山荘」

売店で“夜の部”のおつまみが調達できたのでコンビニ行きは中止、ゆったり温泉タイム。
ラジウム泉で、ほんのりと硫黄の匂いが?
女性客の少ない日だったようで、全くの貸し切り状態。窓からの広々とした景色が最高。
暮れて行く空の、雲の色の移り変わりがとてもきれいだった。




夕食の膳で噂の飛騨牛とご対面。


 

生ジョッキのあとは焼酎。




コージ氏が色っぽい手つきで作ってくれた「芋やもん」の水割り…
ちなみに「芋やもん」というのは中津弁で、中津川市の「はざま酒造」の商品だそう。

夜の部は、6畳間に9人が集まって夕飯の間に敷いてもらった布団の上で全員芋虫。
去年と同じように、メガネ君と一緒に下までビールの買い出しに行った。自販機の前で、

30「去年もメガネ君と一緒にビール買いにきたよね」
メガネ「そうでしたっけ?」

スッカリ忘れ去られていた。そういうところが実にメガネ君らしい。今日のこともきっと今治へ帰る頃には忘れている。
数の足りていない掛け布団をみんなでシェアしながらフジテレビ土曜プレミアムの「ゴールデンスランバー」。

青山店長「俺、これ5回見た!」

合いの手の入る映画鑑賞なんて考えられないという人もいるだろう。でもこれはみんなのお茶の間の団欒ついでのながらTV。
伏線の解説とか、実に厭味無く、聞いていて楽しい。
ひとつの布団にいくつもの足。ペットショップで売られているハムスターたちの寝姿を連想した。
どこが足だかお腹だか頭だか、重なり合ってこんがらがってふわふわとあったかそうに寝ているひとかたまり。




翌朝、お膳に「朴葉味噌」が!
この週末は、うちと、中年紳士のゴルフの会と、中学生ぐらいのバレー(バスケット?)部の3組が入っていたようだったけれど、
体育会系はものっっっすごく「ゴハン」を食べるらしく、お釜を開けたら「ゴハン完売」…で、夕べはゴハン注意報が発令されていた。
今朝は宿のほうでも考えたらしく、お釜のゴハンも余裕あり。(笑)




朝食後、出立までの何となくそわそわした時間帯。部活動の子供たちが早くに出てしまったので静かになった宿。
荷を積みに行くと緑鮮やかなミゼットⅡがいた。
やっぱりこういう系じゃなくてこういう軽(別に間違って無いな)は田舎に多いなと思って眺めていると、オーナー氏登場。



(マウスオンで歓談の様子)
そのミゼットⅡは人からタダでもらったのだというローカル紳士と、しばし歓談。



(マウスオンで写真がチェンジ)
山荘の窓から保古の湖が見える。標高900mで冬は全面凍結するらしい。


 

おみやげを買いまくる赤い軍団。倉庫から全部出してきたという「飛騨牛しぐれ煮」600円は15個も買う人がいたりして完売。

青山店長「あとでほしくなったら1個800円で売るよ~ん!」


 

店長のカタナに乗ってみたいコージ氏に、

「乗っていいよー!」

と言っておいて、店長

「仕返しに俺も乗ってやろ♪」

とコージ氏のV-ストロームに。それを嬉しそうに眺めているメガネ君。


 

丸っこい背中が可愛いモネビー&自分のバイクが無くて手持ち無沙汰なメガネ君。




今日はひとりで今治まで帰らなければならないメガネ君の携帯は無事拾われていて、岡山駅で受け取ることになっている。
あとほんの1時間ほどで車中の人となり、夕方には今治に着いている。日本って、狭いな。




おみやげ収納中のどんぐりさん。
朝ごはんのときにこの人のメガネ顔がイカしていたので、おみやげタイムに「メガネ似合うね~!」とほめてみた。
そのメガネがあとで“ネタ”になるとは、予想だにしていなかった…。


 

集合写真を撮るためにバイクを並べる。




メットも並べてみる。



(マウスオンで写真がチェンジ)
うーん、実にいい感じ。




ところが30のシステム型が混ざると、台無し。やっぱり変なのが1匹混じってる感じだ。
この日、一日の走りで、フルフェイスでないところの弱さがさらに露呈することになる。




ふうちゃん「ここに並ぶと見えなくなっちゃう…」



(マウスオンで写真がチェンジ)
見えなくならないように気をつけながら並んで、宿の人にシャッターを押してもらう(店長のカメラ)。




「さーて、じゃそろそろ出発するぜー!」
「どこでメガネ捨てよっかなー?」




今日も空が青い。




JR中津川駅。ここでメガネ投下…の前に



(マウスオンで中津川の特産は栗らしい)
駅前にある中津川市観光センター「にぎわい特産館」で特産品を漁る。
携帯で写真を撮っている女性のエスティマは三重ナンバー。みんな遠くから来ているんだネ。

中津川市は「栗」が名物らしく、「くりぞー」というイガから小熊が生えたようなキャラクターがいる。
栗を使ったお菓子が実に豊富で、この時期はちょうど「栗きんとんめ“ぐり”」開催中。(笑)
みんなこれでもかというぐらいにお土産を買いまくっている。
中津川産の長ネギがあってものすごく惹かれたけれど、家までの距離を考えて諦めた。
というか、そんなもの積んだら店長にカッコわりー!とか言われそうだし。
栗っぽいお土産の洪水の中、ふうちゃんが手にしているのを見て、どんな味するんだろ?とか何とか言ったんだっけな?
やさしいふうちゃんがひと口くれたのが感動のおいしさだったので、意を決して買ってみた「栗きんとんソフト」。



(マウスオンで…ゴージャスの言葉をどうぞ)
うみゃ~~~!!ベンチに座って食べていたら、ゴージャスがやってきて、

「みんなが触るから、ここが光ってる…」

裸婦像のテカ乳首。目の付けどころがゴージャスだね.



(マウスオンで、えなさんおいでんさい)
私はここに目を付けた。久しぶりのカラーマン。しかも2種類。
やっぱり地方へ来たらマンホールはチェックしたい(←そう思うのはワタシだけ)

各自のんびりとくつろいでいると、

青山店長「送ってもらっちゃってもいいけど、あったほうがいいだろ?」
どんぐり「そうですね…」

なんと、私がほめたメガネを、どんぐりさんが宿に忘れてきたというのだ。
余計なことを言ったからケチがついたのか…。(泣)



(マウスオンで写真がチェンジ)
青山店長「ゆっくり行っといで!」

みんなが栗まみれになっている間にひとっ走り行って来るという。
思ったけど、「七笑(ななわらい)」って「七転び八起き」みたい。だとすると「七笑い八泣き」……怖いことになってしまう。
北恵那交通の路線バスは山並みとその間を縫って流れる川のデザインか。貸切バスはさらにカッコイイ。




「往復1時間だな」
「細いほうの道からだともうちょっとかかりますよ」
実は恵那山荘、以前にもミナミのツーで来たことがあるそうで、その時は今回とは別の林道っぽい山越えルートを通ったらしい。



(マウスオンで写真がチェンジ)
「どんぐりだけにお池にハマってんのかもな。」
「あなたが落としたのはスマートフォンですか?アイフォンですか?って聞かれて悩んでたりして」




陽射しが強くなって暑くなってきたし、ヒマなもんだからつい特産館に入ってお土産物に手を伸ばしてしまうみなさん。




中津川市ってこういう車両が活躍するような土地らしい。

それでも、写真の撮影時間で見当を付けると約1時間後、どんぐりさんはころころせず無事戻ってきた。

仲間の誰かに突発的な事態が起きても誰も慌てず騒がず、
全員で対処して落ち着いて和やかに見守って待つ…という場面
に、何度か出会った。
のっぴきならないことなのに、なぜかその一員であることが嬉しかったりして。
他人のことで、こんなに腹の立たないことがあるという、その時間とその共有。



(マウスオンで写真がチェンジ)
次の電車、間に合うんじゃねぇ?とか言いながら改札でメガネ君を見送る。

どんぐり「メガネを忘れないように!」

おいっっっ!!(笑)…つい今しがたの自分をネタにして笑いをとってしまうとは、いい度胸だ。

青山店長「今度は忘年会な!」
メガネ「はい

やっぱり嬉しそうに笑顔で改札の向こうへ消えていくメガネ君。彼の喜びって…。




ちゃんと岡山駅で携帯もらって帰るんだよ。




日が高くなってあたりが真夏のように眩しく。さあ、帰るぞ。

青山店長「じゃあ高速乗る前にどっか道の駅寄って…」
ふうちゃん「もうお土産入らないよ!」

そうじゃないって、昼メシだって!(笑) みんな笑ってしまう。

川沿いの道だと聞いていた。
今回は全く下調べをしなかった。30を少しでも知る人はものすごく驚くかもしれない。なんと、地図を荷に入れるのを止したのだ!
…余計なことを気にしてもなんだからと、宿の名前も場所も、通る道も聞かなかった。
そんなことより、自分がみんなの足手まといにならないようにちゃんと走ってついて行けるかどうかのほうが気になっていた。
川沿いのその道はR19だった。
川沿いの道を、すぐ前を行くZ1000を追いながら、その川を、チラとでも見る余裕は全く無かった。
かなり長い時間その川沿いの道を走ったはずなのに風景の記憶が何も無い。
信号機についている交差点名が読み取る間もなく流れるように後方へ飛びすさって行く。
ただ、置いて行かれないようにとひたすらZ1000の後を追ってアクセルを開け続ける。後続の事を考える余裕などない。
とにかく走るのみ。走り続けるのみ。「ただ走る」ということについて、自分は今までどれだけできていなかったのかと、思った。




レストハウス木曽路でランチタイム。かなり長い時間走ったと感じたのに、中津川駅前を出発して1時間もたってはいなかった。
時刻は12時半を過ぎた頃で、土日の団体客ピークの波が引いたところ。
4人が注文した猪ひれかつ定食はひれ肉が全てハケてしまったということで、

青山店長「じゃ、全部ひれかつメンチでいいな!」

ちょっパヤな決断で世は事も無く。食べ終わると、

青山店長「こん中でいちばん若ぇの誰だっけ?コージか?」
コージ「いや」
どんぐり「僕ですかね」
青山店長「じゃーいちばん年下が会計な!」
どんぐり「あ、はい」

パシリのメガネ君がいないとこうだ。やっぱり部活。



(マウスオンで写真がチェンジ)
店の展望テラス席のすぐ下が「寝覚ノ床」だった。至近を線路が通っていて驚く。


 
(クリックすると大きな写真に♪)
エメラルドグリーンの川床…山梨の石空川渓谷を思い出した。なぜあんな色になるのだろう。

「人があの大きさだもんなー!」

よく見ると人がひとり、写真に写り込んでいる。「あ、ハイライトだ」と思った。
スケールをわかりやすく示すための添えものとして、昔はよく水色パッケージの“職人煙草”「ハイライト」が使われた。
数年前にどこかのホームページで見たマイナーな滝の写真では、滝つぼの横に人物が立っていて、
「ハイライトは〇〇君です」
と書かれていた。今では、「ハイライト」=煙草のハイライト!と即座に分かる人のほうが少ないだろう。ハイライトの代わりに
携帯が使われることが多いし。
ハイライトが、それこそ煙のように姿を消してしまったことを寂しく思い出した。




ん!………




なんだ、あれは。大量の洗濯物と干された布団たち!じゃなくて…




あのすごい山肌と、なんでそこにあるんだと文句を言いたくなるような民家(の洗濯物…)。




仕方ないからズームしてみた。
「千畳敷カール」とかいう言葉がふと浮かんだ。どこのことだったか。ここは岐阜県でしょ。なら木曽路?木曽と言えば御嶽山…。
でも、ここってそうなのか???
今日は地図を持ってきていないし、そんなことを調べる気にもなれない。帰ったら写真を見ながら楽しく悩もう。
だってほら、誰もあの山を気にしていない。
(実は「木曽駒ヶ岳(2956m中央アルプス最高峰)」だった)


 
(マウスオンで写真がチェンジ)
このあと燃料を補給して高速に乗るという。

マスツーなんて慣れていると思っていた。けれど、走っているうちにどんどん不安になっていった。混じっていていいのか?…
もしかして、ものすごく勝手な運転をしているのではないか…?ものすごく勝手な動きをしているのではないか…?
私だけが浮いているのではないか…?と、繰り返し思った。
塩尻I.Cの手前でスタンドに入った。時刻は15時。小休止。寝覚ノ床から1時間強走ったあたり。
鎮痛剤を追加したけれど、もう効かないだろうなと経験上…。だからといって走らないわけにはいかない。
チームは、チームとして帰らなければ「完結」しない。
誰かひとりが途中でリタイヤしてしまうことの空しさ。マスツーにはあってはならない「1人抜け」。
それって、ものすごくショックで悲しい。一緒に帰れないこと…。わかっているんだ、そんなこと。小学生の頃から、そんなこと。
だから、この日のために一生懸命調整してきた。慣れようとがんばってきた。問題点も見つけて相談してきた。
なのに、この時に、間に合わなかった…。

買ってから、ツーに備えて休みのたびに乗りこなそうと努力してきたにもかかわらず慣れないSAI号…。
DJEBEL:YOKO号が来てすぐ、周囲に指摘されてシフトレバーの位置を下げ、ハンドルの角度を数ミリ上げた。
「あなたは足が長いから」、「なんか姿勢がおかしい」、「変に猫背になっている」等の理由を挙げられた。
ツーリングの途中、道の駅のPで、みなさん持ち合わせの工具と持ち寄った携帯の照明で「野良メンテ」。
それだけのことで乗り心地や操作のし易さが劇的に変わった。
そんなことがあったから、SAI号に乗り始めてから出だした体の異常は、乗車姿勢が合わないからではと考えた。
いつものGSでも、大柄で手足が猿並みに長いワタシがどうも「窮屈そう」に見えると指摘された。
そこで、シフトの位置を下げられないのかと…。
でも、バイクを自分の体に合うように調整するのではなく、自分をバイクに合わせるのが本来の乗り方だと教えられた。
なぜなら、売られている初期状態のバイクは「完成品」だから。
その形のままで乗るのが、そのマシンの性能をいちばん引き出せるはず。
…専門家からそう聞いて、そういうものだったのかと、
安易に調節すればいい等と思っていた今までの考え方を改めなければいけないかと、思った。

アパレルのアルバイト経験がある。丈つめ、袖直しは当然だった。着る人に合わせて“改造”されることは、
衣類なら当然のことだった。けれど、「機械」はそうではないのかなと考えてしまった。
身長180cm以上の巨漢でも150cmに満たない人でも、体重が0.1トンの人でも50kg以下の人でも、同じバイクに乗る。
そういうものなのだろうか…このままで本当にいいのだろうか…乗り続けていれば慣れるのだろうか…
自信がなかった。でもそうするしか無いらしかった。けれどもう…

盆地ストレートの後半から青山店長が前に出てスピードを上げた。笹子までの上りではアクセルを開け切った。
グーッと手前まで回し切って、パッと右手を離して向こうからスロットルを握り直し、ガバッと手前に回す。でも、もう回らない。
…もうそれ以上のスピードは、SAI号には出なかった。
私も限界だったけれど、SAI号も限界だった。




「体力の無い者はバイクには乗れない」
と常々思っている。セットで根性も無ければダメだ。そのどちらか一つだけでは成り立たない。

どんなものでも鍛えれば何とかなるものだろうか。
鍛えたって“なまくら”はなまくらのまま。鍛えてなまくらで無くなる物をなまくらとは呼ばない。




「いちばん遅いヤツに合わせる」のが基本だと、今まで参加してきたどこのツーリングでも聞かされてきた。
でも、実際に走ってそんな速度だと思ったためしが無い。
合わせてもらういちばん遅いたった1人が、少しでも迷惑にならないようにと、いつもはしないギリギリの限界走行をするから。

あまりにピヨピヨの初心者だったり遅かったり下手だったりする場合は参加の「遠慮」をするものだと言われたことがある。
やはり、確実に「迷惑」なのだ。

迷惑をかけないように精一杯の努力をする。でも、努力で追いつかないスピードと技術。




4輪・2輪を問わず、人には「したいこと」の違いがある。

走る派:車やバイクを運転したい・とにかく走りたいので、走るのに適した道であれば場所や目的地にはあまりこだわらない
出かける派:出先の自然や景色・風物等を楽しむ“旅”そのものが目的で、車やバイクはそのための道具

何となく思った。走るのが目的の人は殆ど写真を撮らない。よく写真を撮るのは出かけるのが目的の人。

「バイクはひとりで走るもの」という以前に、目指すところ、根差したところが違う。
それでも一緒にはいられる。出かける派でも運転が上手くて速い人もいるので。でも、下手で遅い人はどうにもならない。
結局は「速さ」。よく言われる「流れに乗る」という、そのための速度。
同じ時を過ごすのに“時間差”があっては、いけない。




先月末の大観山イベントのとき、昼過ぎにやってきたどんぐりさんに、

青山店長「(講習会警視庁かどこかのライディングスクールがあったらしい)行ってきた?」
どんぐり「ええ、もうテクに走り過ぎて、単純に走る楽しさを忘れそうでした」

走る楽しさ………そう。誰もが楽しくなければ。

集団の中で、足を引っ張って申しわけないと思い募らせながら走り続けるなら、ひとりで。
こんな私でも仲間に入れてくれているんだ、有り難いなあ、嬉しいなあと、ただ感謝が出来ないのなら、一緒に走る資格は無い。
(飛び箱が飛べるやつに、飛べないやつの気持ちなんかわからない。そう思っているうちは)


…追いつかなくてもいい背中を、どこまでも追いながら走れる幸せ…夏の白昼夢。


ヘタクソであることをどこまで気にするのか。
…臆病でいいと思う。
車もバイクも人を簡単に殺せる力を持った鉄の塊。
慎重でいいと思う。
だから、ヘタクソじゃダメだと思う。


そうそう、メット問題の解決策になるかな?メガネで走る。これなら安く上がるし。
ただし、忘れたり失くしたりしないように。


< 総走行距離 648.3km >



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